2011年07月31日

夏をあきらめて

 艶やかな、だが激しいサウンドが『フレイア』を呼ぶ。
 まだ馴染まぬまま、コートの前だけを開いてガウン代わりに。土曜日の昼前、生中継のテレビ画面に登場するには、あまりにも猥雑な姿。
 呼吸を整える明日香の前に、蜂蜜色の髪をしたメイドが、姿見鏡を滑らせた。
「何一つ抑えず、あるがままに」
「解ってるわよ。……『演じて』来るわ」
 鏡に映った自分の姿。
 それは、『アッシュ』ではない。見慣れぬ淫靡な女が、ローズたちの言うように、本当に明日香のあるべき姿なのか。
 答は、リングにあるはずだ。
 ふと、気が変わり、コートを脱いで肩に羽織る。
 そのまま、肩で風を着るように花道を進んでゆく。
 一瞬の静寂。
 観客の目当ては自分ではない。あくまでもローズの添え物に過ぎない、名も知らぬ対戦相手のジョバー(負け役)。……罵声は、浴び慣れている。
 だが、溢れたのは湿った吐息。
 粘っこい視線を浴びながら、リングに上がった明日香は戸惑っていた。
 羽織っていたコートを脱ぎ、両手で物憂げに髪を掻き上げるアピール。胸に、腿に、尻に、下腹に。遠慮なく注がれる視線の執拗さに肌が粟立つ。
(何なの、これ……)
 怒声やブーイングなら、いくらでも力に変える術は知っている。
 でも、これは……。



などと、鏡さんが戸惑いながら、「CRY WOLF」PART 10は
じっくりと進行中〜♪

って、「CRY WOLF」本編の新作部分を公開するのも
いったい、何ヶ月ぶりなのでしょう?

PART 9のテキストデータのタイムスタンプを見ると
2011年3月6日って……震災前ですか(^^ゞ(^^ゞ(^^ゞ

言い訳の言葉もない……

微速ながら前進しておりますので
気長にお待ち下さると、嬉しいのですが……

さすがにお盆前進行になってきてますし
体力的にも厳しい時期。

上手く乗れれば、一気に仕上がるくらいの量にまで出来てはいるのですが。

完成したら、いきなりポンと出てくると思いますので、よろしくw

でも、関東地方。
今日は何だか肌寒い。

夜とはいえ、気温は22度だそうです。

明日から八月というのに、今週はずっとこんな調子。
冷夏になっちゃうのかねぇ……

オーホッホッホッホッ

って、それは麗華w
まぁ、どちらも迷惑なのには違いがないけど(^^ゞ

この上、また農産物が高くなったら堪らない。
働けど働けど、我が暮らし楽にならず……じっと手を見る。

「本の買いすぎ」

……返す言葉もございませんw
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2011年07月26日

飛びっ切りのMilky Voice

MEG−CDというのをご存じですか?

読みは「メグシーディー」
とは言っても、武藤めぐみのCDというわけでもなく
ましてや、CHIGUーCDなんてのがあるわけではありません(^^ゞ

廃盤になって入手困難なレコード(敢えて、CDと言わない)を
ベンダー方式で販売するシステムなのですが
このラインアップが、けっこうマニアックで素敵すぎて(^^

私には、その歌声を聞いているだけで幸せになれてしまう
女性シンガーが二人います。

その一人が”とみたゆう子”さん。

80年代に中部地区中心に活動していたアーティストなのですが
知る人ぞ知る人なだけに、なかなか入手困難でねぇ……
レコードの時代の人なだけに
CD化された物も、ほぼ再版はかからない状態。

でもね、この人のファンは根強いのです(^^)

ほんのり甘くて、真っ直ぐに伸びる暖かなハイトーンの歌声は
まさしく絶対無二のもの。
似た歌声の持ち主がいないのだから、本人を追い求めるしかないわけで。

チマチマ買い集めて、オリジナルアルバム全種と、一部のベスト盤はCDゲットしているのですが
さすがにシングル盤は諦めていたんですよね。
B面全部を収めたベスト盤が出ないものかと、ファンが嘆くくらいに。

それが……なんとMEGーCDで、シングルが復活!
これはもう買うっきゃないんだけど、茨城に取り扱い店舗が無い……(/_;)

ゆう子さんの歌声の為になら、東京遠征くらいしますとも!

当然、シングル10枚大人買いの予定ですから
出費に泣くのが確定ですけど……

売れ行き良ければ、アルバムの販売も期待できるかも知れない。
ファン心理というのは、そういうものなのです。

歴史に埋もれてしまうには、惜しい歌声。
MEGーCDのサイトで全曲のさわりを視聴できます。
アルバムがないと「とどけ・愛」「海のキャトルセゾン」という代表的な二曲を紹介できないし(^^ゞ

シングルなら、デビュー曲「セプテンバーガール」のB面の「海」
他には「蒼い風」あたりが、ファンに溺愛されている片鱗を窺えるかな?

フランス映画を見るようなお洒落な楽曲が特徴の人なのですが
こうして見ると、シングルでは、そのあたりの曲が無いんだなぁ……だから、売れなかったのかな?

やっぱり、アルバムの販売もして貰わなきゃ(^^ゞ

ちなみに、歌声で幸せになれるもう一人は
ジャズシンガーのクリス・コナー。

こちらは、打って変わって、ちょっとハズキーでクールな美人声です。
ジャズの女性ボーカルのベスト盤買うと、たいがい「バードランドの子守歌」を歌っているかと

クリス・コナーは例外中の例外で
私は根本的に、澄んだハイトーンの声が好きなようです。

声優で言えば、井上喜久子さんの声の大ファンですし……
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2011年07月24日

徒然なるままに……

あはは……

今日は「CRY WOLF」PART 10 SWEET BITTER SAMBA をアップする予定でしたが
何と、まだ三分の一ほどしかできていない(^^ゞ

いえいえ、時間は充分にあったんですよ。

フラッと入った本屋で「武士道エイティーン」のハードカバーを見つけてしまって
見つけたら、当然買ってしまうし
買ったら、当然読んでしまうわけで

影響が抜けるまで、書くのを止めていたのです。

お気楽不動心の早苗ちゃんと、道を求める香織の決着戦。
そうか……こういう形でまとめたのか

何とも、甘酸っぱくて、胸に染み入るような読後感。
シックスティーンから始まったこのシリーズ、やっぱり大好きです。

主役の二人ばかりでなく
後輩や、ライバル、指導者達のエピソードも重ねて
「こんなお話を書いてみたいなぁ」と思えてしまうから、とても危険(^^ゞ
影響を受けすぎないように、熱が引くのを待ってからでないと。
実際、まんま、めぐちぐでなぞれちゃう気もするだけに……

印象そのままに、パクリっぽくなってしまうのも
いくら個人ブログのお遊び小説とはいえ、とても恥ずかしい事だと思うし。

お盆前には、好みのシリーズの続きが大挙して出るので
それまでには、何とか仕上げちゃわないと(^^ゞ

話は変わりますが

インディで佐藤琢磨が二度目のポールポジションを獲得!
前回はいろいろ残念だっただけに
今度は、落ち着いて結果を出して欲しいもの。

レースは、日本時間の月曜早朝午前三時から
Gaoraさんの生中継があるので
少し早起きして、終盤戦くらいは見ようかと。

……それまで、コース上にいて欲しいなぁ(^^

今年のライオンズは、信じられないくらいに不甲斐ないし。
岸と涌井に統一球が合わないのは、WBCの頃から解っているとは言っても
ここまで修正できずに、総崩れになるとは(--;)

好不調の波の激しい片岡はいつもの事だけど
全然、調子が上がってこなかったり
打線は、相変わらず精神的な脆さを克服できていないし

とりあえず、新外人に期待。

駄目な時は、とことんまで落ちた方が良いかも……なんてことも考えちゃうけど
せめて、応援するファンが「もうちょっとなのになぁ」と思える負け方をして欲しい。

何だか、いろいろ駄目過ぎちゃって
まったく勝てる気がしないっていう状態も、なかなか見られる物じゃないけど、さ(負け惜しみ)
posted by Luf at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月18日

動きがあると言っても……

泥氏のブラウザゲームが「リンドリ」なのは予想の範囲内。
そこにレッスルキャラを拝借するのも
集客を考えれば、当然あること。

ゲームの内容は、まだ発表されてもいないから
何とも言いませんが

要は、こういう世界観を良しとするかですね(^^ゞ

こんなコスを作ってくれてる人がいて助かる


3D絵を作ってみても
やっぱり、しっくり来ない気がする。

気にしない人は、気にしないんだろうけど……


どっちのキャラも顔見せ程度にして
リンドリキャラをメインに、やって下さいなって感じでしょうか。

個人的には、レッスルはレッスルで世界観が出来上がっちゃっているから
あまり他の物を混ぜるのはどうかと思っていますし。

ブラウザゲームは
安く、それなりに作る感じでしょうから
特に期待はしていません(^^

上手くいってくれるに越したことはないとは思いますけど。
posted by Luf at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | レッスル3D | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月13日

リハビリ企画 その6

「悪ぃな、二人とも。今日の試合は、ろくなギャラは出ねぇのに」
 巨大なクライスラーのステーションワゴンのステアリングをタンパベイ方面に切り、ガルム小鳥遊は、詫びた。
 またかよ。と、助手席のオーガ朝比奈が顔を顰める。
「そう何度も謝るなよ、ガルムの大将。アメリカにだって、義理人情の類があるって事は、解ってらぁな」
「……私には、一つでも多くの試合に出る事が大事ですから」
 まだヒールスイッチの入っていない、グリズリー山本が微笑む。
 ここに来るまでに、何度繰り返されたか解らない会話。
 WWCAで、押しも押されぬ存在になっているグリズリー山本と、オーガ朝比奈のタッグで出場するには、会場の規模も、ギャランティーも、まったくそぐわぬ大会。
 それでも、自身がかつてのUSWAチャンピオンであり、元IWWFチャンプの娘を持つルミー・ダダーンに依頼を受けて、断るつもりはない。ましてや、彼女のバースデイを祝う為に、娘のレミーが主催するとあれば、なおさらだ。
 多くのトップレスラーを輩出したタンパの名士だけに、タンパ所縁のビッグネームが、ぞろぞろと名を連ねる事は、想像に難くない。
 そういった連中とのコネを持つ為……との、小鳥遊自身の思惑もある。
 それに……。
(ルミーのバースデイ大会となれば、アイツも来るだろうしな……)
 小鳥遊のヒール哲学を揺るがせた優美な姿を思い出し、ニヤリと口元を緩めた。
「朝比奈……お前、日本で毛色の違うヒールを育てたと言ってたな」
「那月の事かい? あれは育てたと言うよりは、勝手に工夫したって感じだな。クール&エレガントとか、変に拘ってやがって」
 懐かしそうに、眼を細める。
 その横顔を見て、小鳥遊も満足そうに頷いた。
「良い経験をしたようだ。……ヒールってぇのは、何もあたしらのスタイルが全てじゃ無い。いろんなタイプがいるもんだ。その際たる奴に、たぶん会う事になる」
「へぇ……珍しい。ガルムの大将が、そんな言い方をするとは」
「どんな……方なのですか?」
 山本の問いかけに、唇を歪めて髪を掻き乱す。
 それから、鼻で息を吐いて小鳥遊は言い捨てた。
「ひとことで言やぁ……女だ。とことん、な」
 その言葉に、二人の弟子達は顔を見合わせた。

「良く来てくれたね、ガルム。今日のメンバー中、唯一、タンパや、あたし達に縁の薄いメンバーだけに、断られてもしょうがないと思ってたんだよ」
 どこかアルコールの靄のかかった顔を綻ばせて、ルミーが出迎えた。
 悪びれることなく握手を交わしながら、小鳥遊が笑う。
「確かに、会場もギャラもショボイけどさ。でも、集まってくるメンバーは、とんでもねえだろ。あれだけの連中とのコネなど、いくら金払っても作れるとは思えないね」
「正直なのは、好きだよ。せいぜい、この場を利用してくれ。……もちろん、それだけの試合は作ってもらうよ」
「任しとけって。……で、こいつらの相手は?」
「セミ・ファイナルで、あの二人さ」
 ルミーが指差す背後には、眩いくらいの金髪碧眼。アメリカを象徴するような容姿で、一人はマスクを被り、もう一人は髪をポニーテールに結って、笑い合っている。
「ザ・USAに、アニー・ビーチかい……いたぶり甲斐のある相手だね」
「だろ? タンパじゃ馴染みの、典型的なベビー・フェイスの二人さ。……どちらも、ニュージャパンで経験を積んでいる事もあって、ジャパニーズ・スタイルの、ハイスパート・レスリングをやって貰いたくて、グリズリーとオーガを呼んだのさ」
「いいのかい。こっちで受けるとは、かぎらねえよ?」
 ガルムの挑発に、ルミーは大笑いで答えた。
「それが出来ないような、二人じゃないだろう? 観戦しているウチの教え子達の糧になるような試合を頼むよ」
「任しとき。……とはいえ、やるのはあたしじゃなく、この二人だがね」
 急に話を振られ、英語のわからぬ朝比奈はきょとんと、片言の山本は、ほんのりと頬を染めて目を丸くした。
「で、メインはレミーだろうけど、相手はやっぱり……アイツかい? まだ姿が見えないようだが」
 ロッカールームを見回す小鳥遊に、ルミーが肩を竦めた。
「その予定なんだけど、まだ来てないのさ。……まったく、優雅にセイシェルでバカンスしてたとさ。呆けてなきゃ良いけど」

 タンパ国際空港の到着ゲートを出る。
 ちょっと日本を思い出させる湿気を帯びた熱さに、堪らず、白いサマースーツのジャケットを脱いだ。
「ヘヘッ。待ってたんだ。乗っけてってよ」
 肩を叩かれて、振り向く。
 旧友のジョディ・ビートンの悪びれない笑顔。
「あなたも、レンタカー代をケチるような稼ぎじゃないでしょう。若手じゃあるまいに、プライドをお持ちなさいな」
「仕送りやら何やらで、金が入り用なのは知ってるでしょ。運転するから」
「まったく……」
 キャスター付きのスーツケースを引いて到着ロビーを出ると、気づいた乗客達が押し寄せてくる。慌てて警備員が人波を押し分け、道を作ってくれた。
 それを待ち、ヒールの音を響かせながら、脚を進める。
 サインには応じている時間がない。
 せめて、向けられるケータイのカメラや、デジカメに、サングラスを外した。たちまち、ストロボの洪水が沸き起こる。
 微笑み、手を振りながら、目指すのは空港正面玄関の真ん前に立つ、ビルディング。
 ユナイテッド・レンタカー・サービス。
 ショウウィンドウの中に手照られた、自分の等身大パネルに苦笑する。テレビや、雑誌のCMや広告で慣れてはいても、実際に等身大パネルを前にすると、不思議な気持ちになるのは、いつもの事だ。
 鮮やかな赤いブレザーを着た職員が、声をかける前に気づいてくれた。
 等身大パネルの向こう。飾られたブラッディ・レッドのシボレーカマロが移動を始める。
 全米……いや、全世界どこでも、ユナイテッド・レンタカー・サービスの支店のある所に、常備されている特別なレンタカー。
 同社の看板であり、イメージキャラクターを務める者の専用車として。
「お帰りなさいませ」
 丁寧なお辞儀と共に、支店長がキーを手渡してくれる。
 芝居がかった仕草で放り投げると、ジョディが受け取り、助手席のドアを開けた。
「どうぞ、セレブなお嬢様」
 本来なら、後部座席のドアを開けたい所だろうけど、カマロはツードアだ。運転手になりきっているジョディに呆れつつ、当然のような澄まし顔で身を滑らせる。
「さて、急がないと遅刻かもね。場所は海軍の訓練施設の体育館でしょ。あそこ、初めてなんだよね。こっちの団体のリング、まだ上がった事無いから」
 ステアリングを握ったジョディは、シート合わせをしながら、妙に嬉しそうだ。
「あんたには、慣れた会場なんだろうけど……」
「ええ、もちろん。……でも、相手の方にワクワクしているわ。レミー・ダダーン……マムの実の娘」
 視線を流した先で、ショーウィンドウの中の等身大パネルに札がかけられた。
 他の地域では「is Here!」という表示になるのだが、このタンパだけは特別だ。
 札をひっくり返し、カウンター嬢が微笑む。
 そこには、こう書かれてあった。

”FREIA is BACK!”


などと、芝居がかった締め方で
続けて参りましたリハビリ企画は終了いたします。

やっぱり、鏡さんが戻ってきて締めないとね(^^ゞ

「CRY WOLF」本編よりもだいぶ時間が進み
フレイア鏡完成後の時代背景でのシーンです。

ガルム小鳥遊とフレイア鏡の絡みは、いずれやります。
たぶんpart16くらいかな?
もうちょっと、後になるかも知れないけど……

お待たせしました。
次回は久々「CRY WOLF」の続きの予定です。

……雑談、入るかも知れないけどw
posted by Luf at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月10日

リハビリ企画 その5

 チーン。
 朝のキッチン。軽やかに電子レンジが調理終了を告げる。
 百円ショップで買ったシリコンのグリップで、アツアツの皿を取り出しながら、相羽和希が歓声を上げた。
「美月ちゃん、凄いよこれ。電子レンジなのに焼き目がついてる」
「当たり前のことを言わないで下さい、和希さん。焼き目がついてなければ、不良品として返品しなければなりません」
 杉浦美月は、冷ややかに言う。
 それでも、綺麗に焼き目のついた鮭の切り身を見つめて、和希は感心しきりだ。
「電子レンジって、食べ物の中心から加熱するんだよね。なのに、こんな綺麗に焼き目がつくんだから、不思議」
「加熱用の皿が波目になっているでしょう。その高くなっている部分が、高温に加熱される構造であれば、接している面に焼き目がつきます。それ程、不思議なことではないと思います」
「そっか……凄いや、美月ちゃん。何でも知ってるね」
「構造の想像が出来るから、効果も期待できるのです。ギャンブルで購入するには、値の張る品ですから」
 口元が緩んでいるのは、期待通りの効果が出ているからだろう。
 クールな美月だけれど、そういう所は可愛いと思ってしまう。にやついていると、照れ隠しの叱責が飛んだ。
「和希さん、焼き上がった鮭に見とれていないで、すぐに次も焼いて下さい。手早く人数分焼き魚を準備する為、それを買ったのですよ」
「はーい。……でも、みんな大食いなんだから、鍋にしちゃった方が楽だと思うんだけどなぁ」
「昼は嫌でも、鍋にすることが多いのですから。みことさんが、毎朝、鰹節を削っておいて下さっているのですし、きちんとした朝食を作るべきでしょう」
「まあ、ボクも好きだけど」
「野菜を大目に取れることもあって、鍋は有効ではありますが……。毎日三十品目の食品を摂取することが理想だそうですから、二食も三食も続けるのは、問題があると思います」
 三十品目と聞かされて、和希は大げさに天を仰いだ。
「美月ちゃんって、そんなことまで考えているんだね。ボクなんて、朝はお豆腐と油揚げの味噌汁と、納豆でもあれば良いと思っちゃうんだけど……これ、何品目だろう?」
 首を傾げる和希に、美月は露骨に顔を顰める。
「和希さんが、人をおちょくる様な性格をしていないと解ってはいますが……。義務として、突っ込ませていただきますと、味噌、豆腐、油揚げ、納豆……すべて大豆です」
「えっ……あ、本当だ。ごめん美月ちゃん」
「まったく、和希さんらしいと言うか……」
 肩を竦めた美月は、じっと見つめるノエル白石こと白石なぎさの視線に気づいた。
 先ほどから、一心不乱にもやしのひげ取りをしていたのだが、どうやら終わったようだ。
「さすがノエルちゃん、ひげ取りは上手だね」
 和希の賞賛に、ちょっと得意げに胸を張る。
 チラッと確認すると、美月は次の作業を指示した。
「では、ノエルさん。お味噌汁用のサヤインゲンの筋を取って下さい」
 コクコクと頷くと、ざるの中のサヤインゲンに向き直る。
 こういうチマチマした作業は、ノエルに任せると、飽きずにきちんと取り除いてくれる。榎本綾とか、橘みずきに頼む気にはならない。
 適材適所という奴だ。
「……で、美月ちゃんは何をやってるの?」
 不思議そうに和希が尋ねる。
 どうして、見て解らないのだろうと思うが、和希なら良くある事だ。
「何をしていると聞かれても、調味料の量を量っている事くらい解るでしょう」
「調味料って……上皿天秤で?」
「仕方ありません。料理の本というのは、和希さんのように大雑把に出来てますから。ネットで検索して、『塩少々』というのが、約五グラムであると解りました。分量に合わせて、量を準備しておくのですが?」
「……じゃあ、そのビーカーも?」
「大さじ一杯が十五ccであるなら、醤油もきちんと計って……」
「美月ちゃん、理科の実験じゃないんだから……」
「記載の分量通りに調味料を使うのは、当たり前ではないのですか?」
「当たり前かどうかは解らないけど……普通、台所にビーカーや、上皿天秤は置いてないと思う」
 言われてみて、不思議に思った。
 統計を取ったわけではないが、少なくとも、美月の家の台所にも、上皿天秤や、ビーカーはなかった。
 いったい、母はどうやって調味料の配分を決めていたのだろう。
 だが、今は悩んでいる時ではない。
「手段は問題ではありません。出来上がった料理が美味しければ、それで良いでしょう」
 ひとまず、疑問はさておいて、だし汁の計量にかかる。
 もっと効率的な測定具があるのなら、母に教わって入手しようと思いつつ……。


と、今回もシーンのみです。

コメントでのリクエストにあった相羽和希に
拍手でリクエストのあったCBTを重ねる形で、仕上げてみました。

CBTは、個性がはっきりしている分
誰が書いても、あまりブレないのが面白いというか
物足りないというか……(^^ゞ

私は、シリアス系のお話を創る事が多い事もあって
天然系のノエルの扱いには、一工夫しております。

そう、一切セリフを喋らせないw

もともと「……」の多いキャラだし、天然発言をさせて浮いてしまうよりは
周囲から見た仕草で、ノエルっぽさを出す方が馴染んでくれる。
市ヶ谷と並んで、二大何を考えてるのか解らないのが魅力なキャラですから
その方が、動かしやすい気もしますし(^^

さてさて

続けて参りましたリハビリ企画も、いよいよ次が最後。
予定通りに
最後はヒールトリオ+1に、締めていただきましょう(^^

あと、もう一度だけ、お付き合い下さいね。
posted by Luf at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月05日

リハビリ企画 その4

 めんどくせーけど、サインをしてやる。
 ニパッと笑うガキンチョ。……お前、誰のサイン貰ったのか解ってるのか?
 つられて笑顔になりそうになるが、あたしゃヒールだぜ。と、あぶねー所で思い出して、睨みつけてやる。
 とたんに号泣。
 後ろから、お目付役の軍曹……霧島レイラさんに一撃喰らった。
「馬鹿野郎! 子供を泣かしてどうする」
「だってよ、レイラさん。あたしはヒールだぜ」
「今は試合中じゃなく、サイン会中だろう。……総長の態度でも真似てみろ」
「へーい……」
 それもネタだと思っているのだろう。列を作っている連中が、どっと笑う。
 隣の千秋と顔を見合わせ「だりーな」と表情で会話。サインなんて、どう書いても同じなんだから、コピー機持ってきて、コピーして配りゃ良いのに。
 まあ、言ってみたところで、軍曹にどつかれるだけだろうけど……。
 それにしても、テレビってのは、凄えもんだ。
 総長……八島静香さん率いる『北関東バトルアリーナ』で、必死こいて頑張ったところで気づかれもしなかったのによ。新日本女子プロレスのシリーズにゲスト参戦して、その試合が全国ネットの中継で流れただけで、一躍、郷土の誇りにされちまった。
 あたしは、村上千春で、隣にいるのは双子の妹の千秋だぜ?
 中学時代に、アタシらを見るだけで関わり合いにならないように避けていた奴らが、今日はニコニコとサイン貰いに並んでるし。
 だいたい、よりによって、あたしらに一日警察署長って何だよ?
 後ろでニコニコしている少年課のポリなんて、毎度毎度、あたしらをゴキブリみたいに追いかけ回していた奴だろうが。
 そりゃ、盗んだ原付のマフラー取っ払って、当然、無免許で千秋とノーヘル二人乗りしてたんだから、パトカーに追われて当然だけどな。
 ろくなイベントもねえ、小さな町だ。一日警察署長なんて、名目でもなけりゃ、郷土の誇り、おらが町から出たスター様を呼ぶ口実なんてありゃしねえ。
 白黒ツートンの軽トラの荷台に乗せられて、町をパレード……ったって、ゆっくり走っても、三十分もかかんねえで回れる程度の田舎町。仕方なくこうしてサイン会、後は……講演なんて、どうやれってんだよ。
「お久しぶりッス。さすが千春さんと千秋さんッスよね。東京に出て、本当に泊つけて帰って来るんっすから」
 ぜってーパチモンのブランドロゴ入りトレーナーの上下という、いかにもなファッション。中学時代の子分のカナコ。……って、何だよ。その腕に抱いている物体は? 隣は、ヒロキか? 何だその髪型とサングラスは? 一目で「哀川翔、意識してまーす」じゃねえかよ。恥ずかしい。
「お前ら、くっついたのかよ」
「ハイッ。出来ちゃったッスから、しょーがなく」
 あー、歳感じた。
 後輩が、ガキ抱いてって……。
 ちゃんと生活してんのかよ。あたしらより、お前らの方がぜってー偉いよ。
 あたしにもメンツってもんがあるから、口には出さねえけど……。
 東京に出たものの、千秋と二人。
 何をどうして良いやらわかんねえ内に、どんどん金ばっか無くなって。無一文になって、喰うのも寝るのも苦労した挙げ句に……結局、カツアゲでしか銭稼げなくて。
 唯一の幸運は、あたしらを見つけたのがヤクザじゃなくて総長だって事。
 喧嘩には自信のあったあたしと千秋なのに、簡単にのされちまって……拉致られて、「あぁ、こりゃ死んだな」と思ってたのに。
 連れて行かれた廃倉庫の隅で、いきなり。
「お前ら、腕立てやって見ろ」
 んなもん、出来るか。やったって二、三回でアウト。軍曹と二人で、バカにして嘲りやがって……むきになって、気を失うまでやってやったら。気がついた時、腹一杯食える飯と、暖かい布団があった。
 相変わらず、バカにしやがって。
 腕立てだ、腹筋だ、スクワットだと連日。
 千秋と、何度も逃げ出そうと話し合ったけど……あの、食うのも困る惨めさは二度と味わいたくなかった。
 どうせなら、腹一杯食って虐め殺される方がマシだ。二人揃って死ぬこたぁねえだろうから、どっちか生き残った方が警察に駆け込めば、慰謝料くらい取れるだろう。なんて、慰め合いながら。
 そして、ある日……総長の試合を見せられたんだ。

 講演会ったって、会場は出身中学の校庭。
 朝礼台にマイク乗せて……あたしらは校長と教頭か? どうせなら、みんなで運動会でもやろうぜ。今なら、体力に自信あっからよ。
 何を喋って良いのか解らず、見回す校庭にの隅に、泣いてるお袋。
 親を泣かすのは慣れてるけど、親に泣かれるのはちょっとな……。我が子を嘆き悲しんでるんだったら、「産んでくれなんて頼んでねーよ!」と毒づきゃ良いけど。感激で泣いてる親に、何て言やぁ良いんだか。
 あたしらが、郷土の誇りだってんだから……笑っちまう。
 ふと目に止まったのが、校庭の隅にタムロってる昔のアタシらみたいな連中。
 だりーとか思いながらも、お祭りムードに引かれて来たんだろうな。この町、ホント娯楽ねえし。
「おぉ、お前ら気合い入ってるじゃんか。今のアタマは誰だよ」
 おいおい、千秋。懐かしいのはわかっけど、何を言い出すんだよ。
 あ……こいつがアタマか。
 マッキンキンに脱色した髪に、だらしなく着崩したジャージにスカジャン。目張りみたいな化粧をして、ガム噛んで……うわ、昔の自分ら見るみてえで恥ずかし。
 文句あんのかと、ずちゃらずちゃらあたしらの前まで来て、ガン飛ばす。
 こんなちっぽけな町で、こんなちっぽけな世界で……アタマ獲って、粋がって。
「アタマはあたしだけど、何か文句あんのかよ」
「いや、文句はねえが……」
 って、千秋。そこであたしに振るんじゃねえよ。
 あぁ……と少し考えて。
「おめえ、何が得意だ」
「喧嘩なら、誰にも負けねえよ。……お前らにだってな」
 いや、最近は喧嘩上等、流行んねえから。
 都会の落ちこぼれ組は、男遊びに精出してるぜ。……とも言えねえし。とりあえず、嗤ってやる。
「てめえに、そんな根性あんのか?」
「ケッ……見やがれ」
 出た、根性焼きの痕。
 んなもん、あたしらだって……と言いたいが、張り合うのもな。
「我慢大会じゃねぇんだから。……おら、そこで腕立てやって見ろ。千秋が相手だ」
「……何で、私だよ」
 不満を言うんじゃねえよ。コイツに声かけたの、お前だろ。責任取れ。
「腕立てなんて、だるくてやれっかよ。タイマンだ、タイマン」
「お前な。……喧嘩が得意なんだろ。だったら、喧嘩で飯食えるようになって見ろってんだ」
「ケッ。ヤクザにでもなれってのかよ」
 顔を顰めてふてくされる。
 だよな。ヤクザになる気はねえけど、レールに乗せられるのも嫌なんだろ。
「お前、誰と話してるか解ってんのか? あたしらは村上千春と、千秋だぜ。キューティー金井なんて、可愛い子ぶった女を、殴って蹴って、チェーンでしばいて、金貰えるどころか、一日警察署長にまでされちまって」
「それが……どうしたってんだよ」
「ん? あたしらは、喧嘩で飯食ってるって言ってんだ。お前と同じくらいの時と、大して変わらねえ事やって、生活してんだよ。羨ましいだろう」
 さすがに絶句。
 悔し紛れに言い捨てるのが、せいぜいだ。
「……それと、腕立てにどんな関係があるってんだよ」
「こっちがぶん殴りゃ、相手にもぶん殴られるからな。殴り倒されないだけの、相手を殴り倒すだけの体力をつけなきゃ、一発だ。腕立てに、腹筋、スクワット。最低でも三百回くらいは出来るようにならなきゃ、あたしらの世界の入り口にも立てねえ」
「誰が、女子プロレスラーになりてぇなんて言ったよ!」
「その程度の根性もねえのかって、話だ。手の甲に煙草なんて押しつけたって、んなもん、世の中から見りゃ、笑い話だよ。喧嘩上等を貫き通して、なおかつヤクザになりたくなけりゃ……根性見せろよ。あたしらの世界の入り口に立てる程度の」
「んな、だりー事を誰が……」
「だったら、どっかのスーパーの食品売り場でレジ打ちのパートでもしてろよ。好きなことで金稼ごうと思ったら、それだけの根性がいるって事だ」
 なんて言ってたら、千秋の野郎。抜け目ねえな。
「喧嘩だけじゃねえぞ。スポーツだろうと、何だろうと。自分の好きなことで金稼ごうなんて夢を見たら、生半可な根性じゃ駄目だ。嗤われようが、バカにされようが……それこそ死にものぐるいで根性見せなきゃよ。道なんて、拓けねえから」
 とたんに、盛大な拍手。
 嘘だろ、おい。
 馬鹿野郎、こりゃ一般論で……あたしらが根性入れたわけじゃ……。
 んなこと言うから、千秋。どうするよ、これ……。


てなわけで、リクエストにお答えしてみました(^^
シーンと言うよりも、短編ぽく纏まっちゃいましたね。

村上姉妹は、ヒールと言うよりはヤンキーって感じで
私的には、使いづらいタイプのキャラです。
それでも、「Dragon’s Bless」で龍子さんの遠征先の団体を設定している時
八島率いる『北関東バトルアリーナ』の設定を思いついて
紅狂鯉と共に、真っ先にメンバー入りが決まった二人です。

本編には絶対出ない隠し設定として
それぞれのキャラが、どんな風にその団体に加入したのかを決めてあったり(^^ゞ

村上姉妹のは、こんな感じだったのです。
何となく、実際にありそうでしょw
すんなり、入団テストを受けるようなタイプじゃないし。

ありがちなストーリーにはなりましたが
ありがちなキャラだから良いか(^^

リハビリ企画は、もうしばらく続くので
引き続き、リクエストも受け付けております。
posted by Luf at 23:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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