2012年08月05日

水晶の瞳 STARGAZER 星を見つめてた〜

「横浜が成功したら、あの美人さんも誘って、上等な焼肉屋で打ち上げをやるか。さすがに鹿児島までは行けねえが、東京近郊でも、あの美人さんなら、どっか旨い店を知ってるだろう」
「それ、いいかも。今度はボクたちが、霧子さんに、ご馳走してあげるんだ」
「でも、あの人……意外に大食いだよな。なのに、全然太ってなくて」
「影の努力が凄いのかも……」
 どこかで霧子がクシャミしていそうなことを言いながら、大笑い。
 ここまで明るさが戻れば、もう大丈夫だろう。
 龍子は、会場の隅の壁に凭れた人影を見やって嘯いた。
「お前達は、そうやってはしゃいでる方が似合う。しけたツラしている奴は、一人いりゃあ充分だろう」
 不意に注がれた視線から逃げるように、楠木悠理は設営中のリングに背を向けた。
 この所、十六夜美響との連戦が組まれ続けている状況だ。同じ外人勢用のロッカールームにも居づらく、会場の隅で時間を潰しているというのに。
「上等な、焼肉屋か……」
 会話の内容よりも、そちらに気を奪われてしまう自分が情けない。
 堪った涎を所在なく飲み下し、のんびりと暗い廊下を歩く。あと数時間もすれば、詰めかけた観客の熱気に溢れるだろう狭い通路も、まだ寝惚け眼。自販機で買った缶コーヒーに口をつけると、溜息が漏れた。
 対、十六夜響は連戦連敗。
 それも、まったく良い所無しで、相手を光らせてばかりだ。
 美響を上げてやることが仕事であるなら、充分に仕事をしているのだろうが、そんな指示はマッチメーカーでもある龍子からも、出てはいない。
 対等の立場で戦い、手も足も出ない。
「こんな状況じゃ、しけたツラにもなるさ……」
 ガルム小鳥遊の紹介とはいえ、食い詰めて、アメリカから逃げるようにしてWARSのリングに上がった時には、それなりに好転を期待する虫の良い気持ちはあった。だが、日本のリングでもこんな調子では……。
「楠木悠理選手。今、お時間はありますか?」
 不意にかけられた声に振り向く。
 女としては並の身長だが、射貫くような眼差しが妙に印象的だ。上品な麻のブルゾンを覆うように被ったプレス用のゼッケンが、彼女の素性を物語っている。
「ブン屋さんなら、もっと私の他に話を聞くべきレスラーがいるんじゃないか?」
 煩わしいのは苦手と退散しかけたが、軽やかなフットワークで前を塞がれた。
「私は『週刊レッスル』の奥村美里と申します。私が聞きたいのは、楠木選手にしか聞けないことです」
「私にしか聞けないこと? ……そんなものあるのかな」
 そう切り出されて、悪い気はしない。
 だが、続く言葉を聞いて、悠理は顔を顰めた。
「ええ……アメリカマットでデビューする事について。フレイア鏡や、神塩ナナシーではなく、楠木悠理に訊いてみたいの」
「……誤解しているようだけど、私はそんな良いもんじゃないから。ガルムさんコネで呼んで貰っただけで、あっちじゃ試合にすら苦労している身だし」
「存じているからこそ、話して欲しいの。あなたに続こうとする子たちの為にも」


などと、思わぬ人も登場させつつ
「STARGAZER」(後編)は微速前身中……と言いたいのですが
どんな感じに仕上がるのかはともかく
恐ろしく長いものになりそうです。
ひょっとしたら(後編)を二つに分けるかも知れない(^_^;

何しろ、まだ導入段階までしか書いてないのに
半角80文字/行で、すでに200行を突破しているという(^_^;(^_^;(^_^;

ちなみに(前編)が、全体で388行の分量と言えば
その長さがお解りいただけるかと……

最初から四分割する手も無きにしもだったけれど
物語の流れからすると、この三分割しかないわけだし

奥村さんの後、あの人と話して
十六夜との決着をつけて
更に横浜大会での……も外せないわけで

完成までには、更なる時間が必要です。
場合によっては、もう一度抜き出しするかも。

見捨てずに、気長にお待ち下さると幸いです。

ちなみに「カルチョビット」も絶賛継続中。
こんな事もできるチームになってます。

posted by Luf at 19:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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